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【ART】布と模様のハーモニー@静岡市立芹沢銈介美術館
2016年5月19日
久しぶりの休日。ドライブ日和な青空に誘われて、少し遠出を。
9時の開館に合わせて高速を走らせ、静岡の芹沢銈介美術館に到着。
低木と同じ高さの石積みの低層建築の建物は、白井晟一氏の設計。
ひっそりと自然にとけ込む設計には訳があるのですが…最後にお話ししますね。
芹沢銈介氏は20世紀を代表する染織家で、柳宗悦らとともに民藝運動の主要人物でもあった方。民藝運動の機関誌だった「工藝」の装丁も創刊号からしばらく担当し、東京駒場のある日本民芸館でも常設展示で様々な作品を見ることができます。
今回の展示では彼のデザインした着物や帯、そして収集していた工芸品の中から古いアンデス地方の染色が展示されていました。沖縄の紅型や型絵染などを用いた大胆でモダンな絵柄と鮮やかな色合いは、今見ても斬新で見入ってしまうものばかり。本人からの寄贈の他に、着物は特に個人の方からの寄贈も多かったのが気になり伺うと、当時着用していた方ももちろんいたそうですが、部屋に飾るために収集していた方も多かったとのこと。
展示室の途中にあるラウンジのような特別室(内部ではこの部屋だけ撮影が可能でした)。入り口もそうでしたが、部屋と部屋をつなげつ扉や窓のほとんどがアーチ状で、まるで洞窟の中を探検しているよう。
この特別室の壁はコンクリートなのかしらと触ってみると、ビロードのような素材で、展示室とは違った雰囲気となっていました。
彼の作品の意匠が使われたパンフレットも、本当に素敵。購入した数年前の展覧会の図録「50の作品でたどる芹沢銈介88年の軌跡」は、時代背景や生活模様、交流のあった人々の話しを交えて作品を紹介していて、とても面白く読み応えのある一冊です。
朝が早かったからなのか、随分とじっくり鑑賞したのか、美術館を後にする頃には2人共すっかりお腹が空いた状態に。ということで歩いて1分のところにあった「もちの家」でお昼をいただくことにしました。
中に入ると囲炉裏があってびっくり、伺うと築200年の奥会津にあった古民家を移築したのだそう。
冷たいお蕎麦に栗おこわなどの付いた「うす定食」¥900。ゆったりお座敷でいただいていると、小旅行をしているように感じたり。
そして食後には、搗き立てまだ温かいお餅に黄な粉をまぶした安倍川もちが登場。そう、ここ「もちの家」は静岡土産で有名な安倍川もちを作っている「やまだいち」の工場横にあるお食事処なのです。
二階へ上らせてもらうと、これまた風情ある部屋が現れました。芹沢銈介美術館が開館した際には、芹沢氏自身も休憩に利用していたこちらを知人にも休憩処として使ってもらうようにと、自らの手作りの「お茶券」を知人に配ったのだとか。
お腹もいっぱいになって外へ出ると、この異風景!高床式!? 鼠返し!? 思わずレキシを口ずさんでしまうこの風景の正体は、静岡市内にある弥生時代の史跡である登呂遺跡。芹沢銈介美術館はこの登呂遺跡公園の一隅にあるということで、自然素材を使用した低層にしたのだそう。周りに溶け込むというのは(殊にこんな2000年も前の空間ともなると)、とても大事なことですね。
お腹も満たされたことだし、次の場所へと移動します〜。