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【北欧だより・ART】TRAPHOLT museum of modern art / Nanna Ditzel 展
2024年2月16日
Clay Museumを後にして本日の宿に向かって車を走らせながら、どうにかもう1件行けそうだと気になっていたTRAPHOLT 美術館へ。
デンマークはおおまかに3つの大きな島に分かれており、ここは先ほどよりさらに橋を渡った次の島まで移動した先にあるところ。フィヨルドに面した風光明媚な場所なのですが…雨と霧でまったく見えず、残念…またいつか再訪して彫刻公園を散策したいものです。
ここは現代アートの他にもデザインや工芸にも強い美術館で、今回もいくつかの展覧会を並行して行なっていました。
先ほどの重厚感ある建物とはまた異なりますが、こちらも素敵なしつらえです。
お目当ては私たちヴィンテージ北欧家具業界ではお馴染みのデザイナーNanna Ditzelの「DESIGN TIL NYE HOJDER(デザインは新たな高みへ)」展。彼女は椅子やソファ、その他ジュエリーやテキスタイルなど現代にも残る様々なものをデザインした巨匠のひとりで、その生誕100周年を記念した過去最大規模の展覧会です。
まずは入り口からスローブ、その先に続く部屋までを彼女のデザインした布で張り巡らせ、初期の1952年に夫ヨルゲン・ディッツェルと提唱した住空間「階段の風景」へと誘います。
これは階段やステップを使って新たな住空間をデザインしたもので、みんな靴を抜いて座ったり駆け回ったり…。私たちの販売しているソファやチェアのデザインされたのと同時期にこれを生み出したというのだから、よほど先進的な考えだったのかと想像します。
こちらは1962年のキャビネットメーカーズギルド展(コペンハーゲンの家具職人組合が主催する家具の展覧会で、デザイナーと家具職人が組んで新作を発表するもの)への出展作で、 彼女はこの作品で準優勝を獲得。後でこの年の他の作品を調べてみるとこれだけ飛び抜けて先鋭的で、それを受け入れるデンマークデザインの懐の深さも同時に感じたのでした。
こちらは内装からテキスタイルまでもデザインした空間(照明は盟友のヴェルナー・パントンのもの)で、ここに自由に座って当時の様子を映した映像を見ることができました。一年にわたる展覧会とはいえこんな大掛かりなインスタレーションがいくつもあり、もっと時間を取ることができたらと駆け足で見ることを残念に思いました。。
ここまでの前半(インテリアだけでなく住空間をデザインする「階段の風景」)から別の展示室へと移り、プロダクトを紹介する後半はこんなポップなキュレーションでスタート。
ここではBench for two など後期の作品が並んでいたのですが、部屋中にイミテーションの木が生い茂り鳥の鳴き声が響いています。作品と名前をただ羅列するのでなく、家具の展示方法が変わるだけでこんなに楽しくなるなんて!おそらく彼女の代表作であるトリニダードチェアからカリブのイメージだったのか面白いですね。
このラタン製のハンギング エッグチェアも彼女の作品、同じく彼女のデザインしたファブリックと合わせて展示していました。このハンギングチェアは、名は知らなくともどこかで見たことがあるのでは。
私たちもスツールやソファの張替えでお世話になっている、デンマークの生地メーカーKvadrat社の代名詞ともいえる生地シリーズ「Hallingdal」も彼女のデザインです。
そのほか娘たちが生まれた後にデザインした子供用のスツールや、
国鉄DSBのカラーコーディネートを含む内装のデザインなど盛りだくさん。その他George Jesnsenのジュエリーなど、本当に多岐にわたるデザインに圧倒されました。
廊下の天井には彼女のデザインしたトリニダードチェアの笠木を使ったインスタレーションを。こうしてデザインされたものが一同に会すと、一見バラバラに見えていたものに統一された思いを感じ、来てよかったなぁとしみじみ感じました。
おまけ。これは廊下にあった別のアーティストの作品で、動きに合わせて画面がかわっていくもの。子供たちが楽しそうにダンスしていました〜。日本の美術館でも子供達向けのワークショップなどを開催していますが、こちらはより身近というか楽しくアートと触れ合っているように感じます。この後は大急ぎで暗くなった道を宿まで急ぐのでした。。
カテゴリー:ART&CULTURE , カテゴリー:北欧だより
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