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【京都さんぽ・ART】二条城/ティエリー・アルドゥアン Seed Stories 展
2024年5月 2日
京都市京セラ美術館の後に向かったのは元離宮二条城。インバウンドで大混雑と聞いていた市バスは、桜のシーズンが終わっているからか思っていたよりも混雑していませんでした(といっても満車で何台か乗れずに見送りましたが…)。
目的は二条城の見学ではなく、KYOTO GRAPHIR京都国際写真祭の「ティエリー・アルドゥアン Seed Stories 」展。
今年で12年目を迎えたKYOTO GRAPHIR京都国際写真祭は毎年京都市内で1ヶ月に渡り行われるイベントで、関連イベントの情報をSNSやメディアで聞くたびに楽しそうだなぁと思っていたのです。今年は合計12会場13の展覧会が行われていて、いくつか見たい展覧会(川内さんなど)はあったものの…限られた時間のために一番気になっていたこちらに絞りました。
会場は元離宮二条城の中でも二の丸御殿の端にある台所・御清所、世界遺産の中での展覧会という初めての体験に胸躍ります!ティエリー・アルドゥアンはフランスの写真家で、パリ国立自然史博物館に収蔵されている世界中の様々な種子を撮影し続けたものをまとめた2022年刊行の「Sees Stories」が今回の展示の基となっているそう。
中に入るとそこは天井からの照明のない薄暗い広い空間 「Room1:Entrance エントランス」。
ティアドロップ型のガラス球体の中には京都の農家で栽培された京野菜の種子が入りライトで照らしています。写真展なのに写真のない部屋からのスタートに驚きつつ、展覧会のテーマ「Seed Stories 種子は語る」を表すかの様な種の演出に驚きます。何と素敵なインスタレーションですね〜。
次の「Room2:Microcosm 小宇宙」では上部の明かり取り窓からのわずかな光のみ、目が慣れるまでは何があるか分からない暗闇に直方体の腰くらいの高さの柱が並んでいます。先の人にならって柱を覗き込むと…
1柱に1粒ずつ入った種子の写真を拡大レンズ越しに眺めます。暗闇の中で対峙するからかそれぞれのフォルムの違いが際立ち、渡された冊子に書かれた種の説明を読みながらじっと目を凝らします。
次の部屋「Room3:Macrocosm 大宇宙」では暗闇から一転して、障子越しの柔らかな光の中へ。食用の種子が生き生きとしています。
ここで二条城という歴史ある空間の重みも実感。
そして最後の部屋「Room4:From cosmic shapes to human selectiom 宇宙的なフォルムと人為選択」
障子に仕立てられた黒バックの作品は、この章のテーマ通りまるで宇宙空間の作品のよう。種子のフォルムの面白さや美しさを表すという以上の何かを感じる面白い展示で、杉本博司の数理模型シリーズの写真を思い起こしました。
予備知識なしに訪れた展覧会でしたが、何より二条城と写真という組み合わせを体験できて大満足でした。
駆け足なのが勿体ないですが…お城見学はまた次の機会に。。