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【ART】DIC川村記念美術館/西川勝人 静寂の響き
2024年10月 2日
私たちのお気に入りの美術館のひとつ、千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館へ行ってきました。
普段はアート好きが集うひっそりとした美術館なのですが、この日は平日にもかかわらず第二駐車場まで満車。その混雑ぶりの原因は…
この休館発表。私たちも気になっていた展覧会が始まる直前に報道で知り、胸がザワザワとする中での来訪となりました。。
異例の賑わいはこの日だけではなく報道があってから普段の5倍の来訪者となっていると伺い、それならどうしてこんな結果なる前に来てくれなかったのかと寂しい気持ちになったり。。
気を取り直して…この日は晴天で秋というには暑いほどの陽気で、大きな湖のある美しい庭園を眺めながら美術館までのアプローチも楽しい道のりです。
蛯原一郎設計のほっと和むような外観、中に入ると2つのとんがり帽子のような屋根の内部にはエントランスホールに浮かぶ美しい照明があり、常設展に向かう前に出迎えてくれるような温かみを感じたものです。
常設展の中で有名なのはロスコ・ルームで、20世紀アメリカを代表する抽象表現主義のアーティストであるロスコの大作7枚のためだけの7角形の部屋です。ここは他の作品のない自身の作品のみを展示するようにとの、彼の意思を受けて作った世界で4つしかない部屋なのです。訪れるたびにその空間に馴染むまで時間をかけて観るのですが、この日は様々な思いを胸にさらにゆっくりと鑑賞しました。
《今展覧会フライヤー・オモテ面》
《今展覧会フライヤー・ウラ面》
ドイツ在住の西川氏の日本初の回顧展ということで彼について何ひとつ存じ上げなかったのですが、この美術館なら素敵な展示に違いないとの思いでやってきたのです(美術館内はすべて撮影不可)。ガラスや石膏を使った彫刻作品からドローイング、写真まで作品は多岐に渡りますが、根底に通っているものが同様に感じるためか統一感のある静けさが広がっていました。
特にメイン展示室Gallery203は広いホワイトキューブの空間を1m少しの高さの仕切りで9マスに分けて、それそれのマスに彫刻や写真など異素材の作品を組み合わせて展示。これはもともと建築を学んでいたからなのか、単体で見るのとはまた違った視点が持てて面白かったです。9マスの中心は《秋》とタイトルがつけられた7種の白い花の花弁のみを散らした空間で、展示すぐには真っ白だった空間がわずかに色や形が変わってきている時間を切り取った作品が印象的でした。