Carl-Axel Acking のデザインによる、1950年代スウェーデンBodafors製の蛇腹&ガラス扉式のキャビネット。上段はガラス扉の中に可動式の棚板が2枚、程よい奥行きで収納力もしっかりと備えています。この時代には扉を含め木材のみで構成された家具が多かったため、ガラスを合わせたキャビネットは当時の人々にモダンに映ったのではと思います。
一方の下段はこのキャビネットを特徴づけているロールフロント(蛇腹)式の扉。左右に扉を引くとクルクルと背面方向へ収まり、当時の職人の高い技術に驚かされます。一般的な蛇腹キャビネットの場合は側面部分は隠れている構造がほとんどで正面部分でしか蛇腹構造を確認できませんが、こちらは両側面まで見せる独創的な構造となっており、背面に回り込んでいく様は非常に見応えがあります。また中心にはチーク無垢材を贅沢にくり抜いた取っ手がつき、その素材感もお楽しみいただけます。扉内部にはこちらも可動式の棚板が1枚付属します。
脚先には真鍮製の靴下を履き、全体のエレガントな雰囲気を強調したデザインとなっております。セットバックした上段にガラス扉の組み合わせ、そして脚部の抜けなど、サイズの割りに圧迫感を感じさせないデザインもポイントのひとつかと思います。
リビングダイニングにて食器類を収納してカップボードとして、またリビングではたくさんの書籍を収納したりと、工芸的な美しさと実用性を兼ねた一台です。
丁寧な修復を施しまして、全体として綺麗な状態です。天板に角度によって見えるごくうっすららとしたシミ箇所など見られますが、まず気にならない程度かと思います。またガラスに小さなチップなど見られますが、ゆらぎのある古いガラスの雰囲気が非常に良いために、あえて交換をせずにオリジナルのままとしております。詳しくは画像にてご確認ください。