そしていつもより早めの時間に宿へ到着〜。

久しぶりの旅にワクワクしつつ、まず初めに毎度お決まりの館内散策をスタート。

昭和初期に建てられ大切に引き継がれてきた建物は細部まで美しく、じっくり見ては感動している我々2名。こちらは今見てもデザイン性の高いネジ締り錠、鈍い艶を放つ真鍮にも年を経た味わいを感じますね。

館内のあちらこちらで出会う様々な組子細工や…

アール・デコ様式の照明器具にもうっとり。。照明を見ていると現在は庭園美術館として使用されている旧朝香宮邸を思い出したのですが、それもそのはず同時代の建物だからなのですね。

そして何よりのお楽しみはもちろん温泉（内部の写真撮影は不可です）。泉質「カルシウム・ナトリウム・硫酸塩泉」と湯当たりのしにくい美人の湯、上がった後はしっとり肌に。。源泉掛け流し、加温・加水・循環なしと、贅沢なひとときでした。

更にここは温泉だけでなく素晴らしいサウナが2種類あるのも特徴で、夕方と翌朝の2回、趣の異なるサウナを楽しむことができました〜。音楽など一切かからないサウナ室で聞こえるのは横を流れる川のせせらぎのみ、火照った体を鎮める水風呂も川の水を含んだキンと冷たいものと完璧。その後の外気浴はフィンランド製の木製チェアに座ってゆったり。（川では小水力発電がされているからなのか）水音はせせらぎというよりザーっと周りの音をかき消すほどで、次第に頭が空っぽになっていきました。

さてさて夜もふけてあたたかな明かりが灯ります。

館内の至る所にイサム・ノグチのデザイン「AKARI」が置かれていて、場所に合わせて選ばれたフォルムにうっとり。以前行った展覧会でも様々なデザインを見ましたが、やはり実際に使われているものの美しさは格別ですね。

こちらもAKARI、窓の形に合わせてセレクトしているのでしょうか。

そして季節を感じられる盛り付けの夕食は、土地の恵みに感謝する深い味わいばかり。

日本酒も各種揃っていました。

朝の清々しい空気〜。

朝食も伊豆の恵みを感じる食材ばかり、なかでも香り高い削りたての鰹節におろしたての山葵をのせたわさび丼は格別でした。

その後はしっとりと落ち着いたラウンジで休憩〜。

一角にはセルフでいただけるドリンクコーナー、そして温泉や食にまつわるエッセイ、宿にゆかりのある文豪の小説など凝縮された選書の本コーナー(とその先にも特大版のAKARI！)。

そのなかの一冊を手にとって、食後の珈琲を楽しみます。

チェックアウト前に楽しみにしていた館内ツアーに参加。

大正・昭和初期のガラスに揺らめきがあるのは知っていましたが、その製造過程から説明していただいたり…

職人の技についてだったり…

技法や素材の説明だけでなく、建てられた当時の時代背景などにも話がおよび…

単に歴史がある登録有形文化財〜という以上の深い部分まで知ることができ、本当に勉強になりました。そしてそこで働く方々の愛情も感じることができました。

1泊の近場への旅行とはいえ、温泉においしい食事、その他たくさんの刺激を受けて大満足な旅となりました。様々なことをインプットできた久しぶりの旅は、日々の暮らしの楽しみとして”旅”というものは必要なものだと実感したのでした。