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【ART】アイノとアルヴァ 二人のアアルト 展

2021年4月17日

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暖かな花曇りの朝、人気のない世田谷にある砧公園…

 

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その砧公園の一角にある世田谷美術館を訪れました。

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目的は楽しみにしていた展覧会「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」、日時指定の事前予約制になっています。

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入り口までのアプローチにはartekの現行品を使ったディスプレイがされていて、ワクワクと胸が高鳴ります。

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一角の壁面が塗装されていて、グッと北欧らしい雰囲気になっていました。ディスプレイも素敵ですね〜。

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ダイニングテーブルの上にはブラックのペンダントBeehive。お店にはホワイトが吊るされていますが、色味が変わるとエッジの効いたシックな印象になります。

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《今展覧会フライヤー・オモテ面》

今回の展覧会、当初は妻のアイノ・アアルトだけの展覧会をと考えていたそうですが、どちらの作品かが明確に区別することが難しかったため、今回の副題『Shared Vision』となったそう。

そういえばアアルト作品と聞くと、夫のアルヴァが建築、妻のアイノが家具やインテリアを担当していると漠然と思っていたのですが、建築に関しても2人は対等に意見を出し合って進めていたと初めて知りました(1〜7章まである会場内、前半は撮影禁止でした)。

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《今展覧会フライヤー・ウラ面》

会場は2人の歩みを年代を追ってその時々のキーワードごとにまとめられていました。前半で驚いたのは「2章・モダンライフ」での広い空間での展示。低めのパーティションによって区切られたブースごとにキッチンやダイニングの空間が展開されていました。コンパクトなブースごとに、暮らしやすいようにオリジナル家具がディスプレイされていました。素敵な展示だなぁと眺めていたのですが、途中に展示されていた図面を見てびっくり。この空間自体が、1930年に開かれた工業デザイン博の一環として開かれた「最小限住宅展」をそのまま再現していたのです。

ブースごとに描かれたテーマのフォントも同じだったりの再現度合いに、時空を超えてアアルト夫妻の開いた展覧会に足を踏み入れているようで、こんな貴重な機会に恵まれるとはと、静かにひとり感動したのでした(先行企画である昨年開催された竹中工務店のギャラリーA4で作られた展示のようです)。

他にも代表作のひとつであるパイミオチェアを紹介するブースの壁面がアアルトデザインのベースに似たフィヨルドのような有機的な曲線を描いていたりと、作品のみならず空間作りにまで目を凝らさないともったいない!と歩みをすすめる足がさらに遅くなるのでした。

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建築家である彼らのもうひとつの顔であるプロダクトデザインを紹介する「5章・ARTEK 物語」。貴重なアームチェアは全方位から眺めることができるので、思わずぐるりとまわって細部まで目を光らせてしまいます。

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「6章・モダンホーム」では1936年完成、自邸兼設計スタジオのアアルトハウスの紹介。手書き図面に…

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模型と…

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さらにリビングの一角まで再現。

これらの家具が今もなおARTEK社によって販売され続けていることを考えても、普遍的なものを生活者の目線で生み出したからだと実感します。そんな視点は彼らの建築にも通じる機能主義と自然主義が共存したもので、それはアルヴァだけではなくアイノの視点がプラスされた2人だからこそ生み出されたものだと、今回の展覧会を見たことで頭でなく心の片隅にストンと実感として収まったようでした。

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そして最後の「7章・国際舞台でのアアルト夫妻」へと進みます。

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その手前にも現行品のディスプレイコーナー、これまた素敵ですね〜。

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ヴェールのようなカーテンの先に入ると、まずこのうねる壁を見てびっくり。これはコンペで勝ち取った1939年ニューヨーク万国博覧会のフィンランド館の壁を一部再現したもの!

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ニューヨークでは予算の都合で前年に開かれたパリ万国博覧会のようにパビリオンを建設する予算がなく、狭い箱のような白い建物の内部のみが割り当てられていたのだそう。そのため参加に二の足を踏んでいた夫妻でしたが、コンペ締め切りの3日前から図面に取り掛かって優勝。そしてこちらの模型のように”白い箱”を崩すためにフィヨルドのようなうねる壁を生み出したというから、制約を逆手に取ったその発想力に驚きます。

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ちょうど一方が大きなガラス窓となっているこの部屋ゆえ、自然の中で木のぬくもりあるプロダクトを見ているよう。。

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そういえば今回の展示はいつもと逆回りだったのですが、この扇形の空間を生かした展示を最後に持ってくるからだったのでしょうか。

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おしまいは出口までのエピローグ。写真好きであった2人が撮影したファミリーフォトでシートを作るとは、最後まで副題である「Shared Vision」が徹底されていました。公私ともにパートナーだった2人、家族に対する優しい眼差しから生活者の視点が生きた作品が生み出されていったのでしょうね。今回は妻アイノに注目することでアアルト作品に対する新しい視点というか肉付けをしてくれたようで、本当に素晴らしい展覧会でした。

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気づいたら12時を過ぎていて、いつもなら併設のカフェやレストランでランチをいただくところですが…グッと我慢して帰路についたのでした。。

【世田谷美術館】東京都世田谷区砧公園1-2

 

カテゴリー:ART&CULTURE

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